図1 半導体の電子正孔系の相図の模式図
低温低密度(左下)では、電子と正孔が対となって励起子を形成し、系全体は絶縁体として振る舞う。高密度では励起子は電子と正孔に解離して金属的な電子正孔プラズマになると考えられていた。実際、高温高密度の状態(右上)はよく理解されていたが、低温のまま高密度にしたらどのような状態になるのかがわかっていなかった。今回の研究により、モット転移を起こして金属になっても、電子と正孔間のクーロン相互作用の効果により、電子が自由に動きづらい状態(右下)になっていることがわかった。
グラフは、その状態での電子の有効質量を引力の効果を無視した場合の値の比としてプロットしたもの。クーロン相互作用の効果によって重くなっていることがわかる。点線は高温の場合についてプロットしたもので、ほぼ1である。